PRK/LASEK/Epi-LASIK

PRK/LASEK/EpiLASIKは、すべて、表面照射(surface ablation)に分類されます。尚、LASIK/IntraLASIK は、層間照射(interface ablation)です。

PRK/LASEK/Epi-LASIKは、米海軍、海兵隊ではパイロットにも許可されるほど安全性が高く、安定すればスッキリ感も良いのですが、『術後3〜4 日間は痛い』『視力回復が遅い』『角膜上皮下混濁( ヘイズ )の予防のために、1年間は、紫外線から目を保護しなくてはいけない』という欠点もあります。私はLASIK/Intra-LASIK よりも、PRK の方がよいと思っていますが、患者さんはあまり希望してくれません。

PRK/LASEK/Epi-LASIK の違いは、手術終了時に、PRK では、角膜上皮が欠損しており、LASEK では、半死状態の角膜上皮が存在し、 Epi-LASIKには、大半が生きている角膜上皮が存在するという違いです。しかし、どの手術をしても、疼痛防止にソフトコンタクトレンズ を使用し手術後3〜7日で、角膜上皮は再生または置換され、ソフトコンタクトレンズ を除去後の診察では、どの手術をうけているかは判定できなくなります。

PRKの角膜上皮切除には、(1)機械的に除去(2)エキシマレーザーで除去(3)薬液で接着を弱くしてから除去、があります。
機械的に除去する方法は、古典的手技といわれ、ゴルフヘッドのような形をしたメスを用いて行なうのがもっとも古い単純な方法でした。電動ブラシ(Amoilsが有名)を使うこともあります。単純にPRKというとこの方法になります。Epi-LASIKで、上皮フラップを、廃棄すると手技上は、PRKとなり、名称はEpi-PRKまたはepitome-PRKとなります。
(2)エキシマレーザーで除去する方法は、レーザーを角膜上皮も含めて照射するのでtrans-epithelial PRK(te-PRK)と通常は呼ばれます。また、この時の照射は PTKモードなので、 PTK-PRK。角膜に触れないので no-totch法。レーザーで角膜上皮を除去するのでlaser-epithelial-removalとも呼ばれます。superPRK, superficialPRK, flexPRK(NIDEK)と称するクリニックもあります。長所は、手術が簡単かつコストが低いことですが、角膜の厚みの個人差により術後の屈折誤差が大きいのが、この方法の問題点です。この理由でVISX社やWaveLight社(ALLEGRETTO)は、この方法を推奨していません。
(3)薬液で接着を弱くしてから除去する方法は、20% エタノールや5%NaCl等を使用し、角膜上皮の接着を弱くしてから、道具を使って上皮のみのフラップをつくり、レーザー照射前に、フラップを破棄します。途中までは、LASEK そっくりです。ASA(狭義のadvanced surface ablation,2003 D.Durrie,ESCRS) または ethanolPRKと呼びます。

Epithelial-PRKという手技があります。これは、通常のPRKはBowmann膜と角膜実質にエキシマレーザーを照射しますが、この方法は、角膜上皮そのものにエキシマレーザーを照射します。目的は、LASIK/PRK術後の追加矯正です。LASIK/PRK術後は、角膜上皮が肥厚し、-0.5〜-1.0D程度なら削っても大丈夫という理由からです。しかし、時間経過とともに効果が減弱し、通常のフラップ・リフトでのLASIK追加や、通常の方法でのPRK追加の方が有効と判断され、現在は行なわれなくなった手技です。Epi(epi-PRK)は、epitome-PRKであって、epithelial-PRKではないことに、ご注意ください。

LASEK (1999, M.Camellin)は、20%エタノールや5%NaCl等を使用し、角膜上皮の接着を弱くしてから、道具を使って上皮のみのフラップをつくり、レーザー照射後に、フラップを戻します。

Epi-LASIK (2003,I.Pallicalis) は、エピケラトームを使用し、上皮のみのフラップを作り、レーザー照射後に、フラップを戻します。手術は、一見すると、LASIKそっくりです。

当院は、最初は、te-PRKでした。その後、強い近視を手術するためにLASEK を導入しましたが、予想外に手術後の疼痛を訴えるので、片目 te-PRK,反対眼をLASEK の同時手術を行いましたが、全員が手術後早期の痛みも見え方もLASEK の方が良くないと答えました。しかし、手術後、3カ月すると視力成績はLASEK が良好でした。また片眼LASEK 、他眼ASA では、短期、長期共に、ASA の方が良好でした。そこで、ASA を原則としていましたが、EPITOME を輸入、メンテナンスも可能となり、EpiLASIKを導入しました。しかし、やはり、LASEKからASAに変更したように、EpiLASIKも上皮は破棄して、epitome-PRKにしたほうが、視力回復が早く、疼痛も少なかったので、一旦は、Epi を原則にしていましたが、メーカーの都合で、メンテナンスが不可能となり、現在は、PRK(amoils-PRK) を、原則にしています。

猫5

PRK/LASEK/Epi-LASIK手術の成績
当院の近視に対するPRK/LASEK/Epi-LASIK手術の実績
(2022年 12月31日までの手術にたいして)
裸眼視力

PRK/LASEK/EpiLASIK近視、近視性乱視( 0 〜 -12 D )の場合(n=5203)

手術後0.7以上は 翌日 65%  手術後1週 70%  手術後3ヶ月 98%
手術後1.0以上は 翌日 32%  手術後1週 40%  手術後3ヶ月 97%
アンケートでは手術後3月での見え方は、以前使用していたコンタクトレンズに比べて
もっと良い 38%, 同等 40%, やや劣る 10%, 劣る 12%

PRK/LASEK/EpiLASIKは、手術後1週間は、かなり変動します。その後、しだいに視力が回復していきます。同じ視力の場合はLASIK/IntraLASIKよりも、スッキリ感は上です。



Epi-LASIK 用Gebauer社Epitome(Epilift) の本体



イタリアのオリジナルのヤナック製LASEKおよびASA手術道具セット



Amoils( 角膜上皮除去用電動ブラシ), ディスポブラシヘッド,
眼球固定器具,PRK用クーリング・アイキャップ(当院考案)
当院では、現在はこれを、使用しています。手術結果は、Epi の時と同等です。